Jeans for Genes Day
投稿日:2012年8月3日
オーストラリアの学校では、チャリティのための活動が頻繁に行われます。
多くは、mufti dayと呼ばれ、生徒たちは私服で学校に来ます。
ユニフォームという言葉もそうですが、mufti(マフィティ - 平服、私服)というのも軍隊用語です。軍隊は、学校という教育システムが社会に誕生するよりも何世紀も前から存在したものだから、それがそのまま学校という場でも使われるようになったのでしょう。
今日も、そのmufti dayだったのですが、今日は、ジーンズをはいてくることが条件です。
そ れは、”Jeans for Genes Day”という目的の定まったチャリティだからです。遺伝子のGenes(ジーンズ)とジーパンのJeans(ジーンズ)をかけています。制服で来ない生 徒は、Gold coin(1ドルか2ドル金貨)を寄付します。そのお金は、遺伝子が正常に機能しなかったために何らかの障害を持ってしまった子どもたちを支援している機 関に送られます。
それに便乗して、学校の図書館でも資金集めをしようという計画があったようです。English Department(英語科 - 英語科は英語科でもDHSの学部のひとつで、この場合には日本の高校の英語科とは無縁です)全体でカップケーキを焼い て、その売り上げを図書館で必要としている経費の足しにしようというものです。
ICETからリカさんが名乗りをあげて、そのグループに加わりました。
2時限目にICETの9年生の生徒たちがMr. Kolokossianと応援に出かけたようです。私は、残念ながら他の用事と重なり、応援に駆けつけることができませんでした。たくさんの売り上げが出ましたように!
図書館のためにカップケーキを売るのだと聞き、自分の小学校の頃を思い出しました。日本がまだ高度成長期に入るずっと前のことですから、学校の校舎も図書館も現在のようなすばらしい設備のものからはほど遠いものです。図書館では、蔵書を増やす必要がありました。
当 時、流行ったのは、アンゴラウサギの毛を売ってそれを図書館に寄付するというものでした。学校から紹介されたのでしょうか、私は、それに夢中になりまし た。ウサギですから、放っておけば、数は自然に増えていきます。最初は数匹から始まったものが、あっというまに増えていきました。父と兄に大きなウサギ小 屋を造ってもらい、これまた大きな一面の畑をもらってクローバーを育て、学校から帰ると鎌でクローバーを刈り、大きな籠に入れて背中に担ぎ、ウサギ小屋ま で運ぶ。それを何度か往復で繰り返す。それが、私の日課となりました。
私の寄付金は、ダントツに大きなものでした。本が大好きなので、学校の本が増えるということは、嬉しいだけでなく、とても大事だと思って必死だったのだろうと思います。
で も、ある日、クローバーを刈っているうちに腕が疲れ、鎌を左手に持ち替えたために、右手の薬指の爪の半分を縦に割るように切ってしまいました。衝撃が大き すぎたのか、意外に冷静だったようです。はがれそうになった指先を押さえ、家に戻りました。あまり痛みも感じずかなり冷戦だったのですが、母の顔を見た瞬 間に、ドーっと涙が出てきたことを覚えています。
爪は、いくら伸びても、今でもそこが山形になって平らにははえてきません。不思議ですね。
ウサギたちは、その後、級友たちの家にバラバラに引き取られ、クラスの仲間たちが図書館への寄付を続けていくことになり、畑のクローバーも、季節が終わるまで級友たちが刈り続けました。私のウサギたちとの生活もそこで終止符を打つことになりました。
そんな思い出があるので、カップケーキの応援にぜひとも駆けつけたかったのですが、仕方がありません。
リカさん、多いにがんばったことでしょう。その心意気にエールを送ります。