日本通のタマゴたち
投稿日:2012年9月2日
食べず嫌いというのがあります。
味わったことが無いのに、食べたことが無いのに、見た目から、あるいは、誰かの反応から、あるいは、匂いから、自分で食べるという体験をせずに、「嫌い」と断定してしまうのです。
おいしいものをたくさん食べ損ねているかもしれないのに・・・ それだけでなく、たくさんの豊かな栄養を得ることができるのに・・・・
違う文化に対する偏見も、私は、これによく似ているのではないかと思います。
偏見がどのように生まれてくるかは、様々な過程があるのでしょうが、ある程度共通しているのは、未知のものに対する不安や恐怖、どこかから何気なく仕入れてきた誤解や嫌悪感、脈絡無しに入ってきた印象などがあるのだと思います。
それは、周りにいる人々の言葉や態度、メディアから流れてくる情報や映像、書物に書かれた言葉などから主に入ってきます。直接体験したことももちろんあるでしょうが、それは、むしろ、少数なのではないかと思います。
Enrichement Dayと呼ばれる小学校5年生のDHSでの研修授業。毎週木曜日に10週間あり、そのうちの1回がICETの生徒が担当する文化交流の授業です。毎回同じ結果が出るのですが、小学生たちの感想は、「ICETの生徒たちとの時間が一番楽しかった」というのが圧倒的に多い数字だと担当の先生がおっしゃいます。
10歳のこの子たちが、日本の高校生と楽しい時間を過ごした時に得た体感は、日本人への、そして、日本の文化への好ましい印象として残ります。
過去の事実から、5年生に体験したことを元にDHSに入学し、日本語を選択した子どもは決して少なくありません。
この中から、将来の日本通が出てくることもまったくの奇遇ではないのです。
そういう面から考えると、ICETの生徒たちの文化貢献の価値は、遠い未来に繋がるものであり、極めて大きなものです。ICET生たちに必要なことは、その文化貢献は、こうした特別な機会だからできるものではなく、毎日のホストとの生活の中で、通学の途中で、そして、学校の授業やキャンパスの中で、常に起こっているもの、自分がそのチャンスに恵まれているのだという意識をしっかりと持つことです。
それが広く日豪の友好関係を維持することにも当然つながっていくことは言うまでもありません。