R&R Trip Day 7

投稿日:2012年10月5日

とうとうケアンズを去る日が来てしまいました。

今回の旅のような時間を永遠に続けたいと思うほどに、楽しく充実した時間を過ごしたことでしょう。でも、どんなにすばらしい日々、瞬間も、必ず終わりが来ます。

毎年のことですが、このケアンズの旅を終了したあとには、ほとんどの生徒が虚無感を経験します。あまりにもその時間が特別であるために、その余韻にいつまでも浸っていたいのですが、でも、現実はそうでないというギャップに、気持ちも体もついていかないのです。

通常の日常生活や学習に戻ることを難しいと感じ、何をするにも力がはいらないという状態を体験します。

この状態は、生徒たちが、日本に戻った時にも起きます。生徒たちから話を聞く折があれば、どの生徒もその虚無感を体験したと言います。こちらでの生活体験の中身が濃ければ濃いほど、虚無感も深く深刻なものとなって現われます。長く続く場合もあります。

日本に戻っての数週間は、1年ぶりに出会った人々との興奮に中にいるのでそれほど意識しません。それよりも、かつて自分が育ったところに戻ったのに、再びその日常のリズムに戻ることが実は簡単ではないことに気付き、そちらのほうに注意が向きます。やがて、数週間経ち、日常生活のリズムが落ち着いてくると、この虚無感が襲ってくるのです。オーストラリアでの時間が現実感を伴わない夢のように思え、せめて余韻であってもその夢を取り戻そうとします。

迎えられる保護者の皆様は、どうぞ、お子さんがこのどうしようもない虚無感に襲われることがあるということを十分にご留意ください。

問題は、この虚無感にどう立ち向かうかです。それを感じることは避けられません。そこからできるだけ早い時間で抜け出すこと、方法を考ることです。

 こちらでは、4学期という最高に忙しい時期を迎えます。オーストラリアでの体験をさらにもっと積み、これまでの学習が大きく花を開く達成感を味わうことが将来自分を燃やすエネルギーとなります。その達成を目標として掲げ、そして、卒業式という大きな最終地点に向けての全力疾走が始まります。

生徒たちがそうした感情の変化について話ができる場を持ち、いろいろな場面で元気を出すことを鼓舞しながら毎日の体験、学習の時間に精一杯従事するようにすることが一番効果のある方法です。

日本に戻ると、「留学のことは忘れて、受験勉強に専念しなさい」と、留学での体験、成長、気持ちの変化を封印してしまう傾向にあると耳にします。留学体験に浮かれているように見えるのか、受験には邪魔だということなのでしょう。それをしてしまうと、生徒の活力は、2ヶ月もしないうちに見る見ると内にこもっていってしまいます。4月か5月になると、笑顔もなくなり、12月の帰国の際とは別人のように変わってしまうことさえあります。

受験という大きな目標がありますが、それは、1年後のことで、ずっと遥か先のことです。小さな目標をたくさん作るといいでしょう。

そしてもうひとつ大事なのは、留学での成長を封印してしまうのではなく、思い出させることだと私は思います。「思い出すと辛いから思い出さないようにしている」という生徒も少なくありません。それは、留学中のことをオープンに話せる機会が限られてしまっているからです。せっかく弾ける勢いの活力を持って帰国するのですから、その活力を上手に受験勉強にも活かせる方法が必ずあるはずです。

帰国後、もし、元気がなくなってきていると見えるようなことがありましたら、今年1年のいろいろな体験、成長に再び触れられるような機会を作ってください。写真集と取り出して眺める、ホストの話をする、文化の違いの話をする、日豪関係の話をする、どんなことでも、留学時代に繋げる話ができることが大事です。なぜなら、その体験が大きく未来につながっていくからです。そして、オーストラリアの人々とコンタクトを切ってしまわないことが大事です。その上で、留学の体験を帰国後の生活に、そして、未来にどう活かせるかを一緒に話し合ってみることです。

学校では、「受験に留学の余韻は要らない」という空気があるかもしれません。こんな大きな体験を活かし切れないのであれば、極めてもったいない話ですが、そうだとすれば余計に、お家の中で、1年間のエネルギーや知識をどういう形で活かせるかということを折りあるごとに話をしてみてください。

 旅の後の虚無感のことから、話が数ヶ月後のことに飛んでしまいましたが、この極めて深刻な帰国後の状態に触れる良い機会となりました。

ケアンズでは、そろそろ、朝食が済む頃です。夕方、6時頃には、ホストのお家に戻ります。

 

 

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