学習と睡眠
投稿日:2012年10月31日
記憶を促進するためには、睡眠が必要と言われます。
十代の若者たちの健全な睡眠時間は、7時間から8時間といろいろな雑誌に書いてあります。特に、男の子の睡眠時間は明け方から朝にかけてが健康的なものであり、朝早い時間に学校に行くために起きることはあまり好ましくないなどと、生徒たちが読んだら喜びそうなことまで書いてあるものもあります。
いずれにしても、脳の活動を活発にさせるためには、栄養と睡眠は欠かせません。
さて、学習能力を促進させるためには、何が必要なのでしょうか?
先日、「日豪プレス」という新聞に600人の人々にアンケートをしたという記事が出ていました。十代の若者がFacebookやTwitterのようなSNS (Social Network Services)を1日平均3時間使用。そして、使っている場所は、なんと66%がベッドの中。31%がトイレの中。そして、45%が食事をしながら、という数字が出ていました。
この600人がどんな人たちなのかということは書いてありませんでしたが、80%がスマートフォンを持っているということですので、相当に裕福な階級の若者たちなのでしょう。この数字をご覧になって、皆さんはどう思われますか?
教育の現場でのひとつの心配は、睡眠不足です。自然の状態であれば、疲れたら眠くなるのが当たり前です。夕日が沈むのが7時なら、それから2、3時間もすれば自然に体が睡眠モードにと変化していきます。学校で学習したことを復習し就寝すれば、睡眠中にさらに記憶に刻まれていきます。
もし、10時過ぎ頃から映画を観たり、激しい音楽を聞いたり、ゲームをしたりして、2~3時間過ごしたとしたら、頭脳はどうなっているでしょう。当然、頭脳は睡眠状態からは程遠いものであることは容易に想像できます。先日お話したアデレードの大学生の実験でも眠りにつきにくくなるということが結果として出ていました。
今の時代は、そうした小さな器具を自分の体の一部として持ち歩くことが当たり前の状態になってきています。そして、生徒たちを観察してみると、授業中にぼんやりしていたり、宿題ができていなかったり、学習結果があまり伸びていない生徒の場合には、夜の時間の使い方と睡眠時間が多いに関係あることがわかります。
そこで、私の提案です。もし、本当に学業に優れたいのであれば、
1 音楽は静かなものを聴く
2 夜10時には、すべての器具のスイッチを切る
3 携帯電話をベッドに持ち込まない
4 7 – 8時間の睡眠をとる
テクノロジーの時代に沿った時代感覚ではないかもしれません。しかしながら、どんなに機械や技術が発達しても人間の基本は変わりません。なぜなら、人間の身体は頭脳を含めて、そう簡単に進化していくものではないからです。高校生は、しっかりと勉強をする時です。ほんのちょっとのコントロールを自分の中に取り入れることで、そして、十分に健全な睡眠を確保することで、授業での集中力は大きく変わってくることでしょう。
集中力が増せば、理解力も増します。そして、記憶力も増大します。学業に優れるためには、睡眠という基本中の基本をしっかりと自分のものとすることです。