付き合い方
投稿日:2012年11月12日
先週半ばから生徒たちは、テスト、テストに明け暮れています。
「学び、成長するためにここに来ているのに、しかも、その成長は点数なんかでは到底表せないものなのに、なぜ、点数でしか示せないテストが必要なのですか」という質問が今日ある生徒から出ました。日本にいたら、こういう発想の質問は出ないのではないかと思います。試験があり点数に晒されることが当たり前となっている学校教育では、その点数をより高いものにすることが勉学の目標となっています。この質問は、そうした教育のあり方の根本を突くものです。理解と応用、批判的思考、個人の最高の学習、夢を叶えるための手段としての学習を教育の目標に掲げるこの地においても、この質問に生徒が納得できる答えを出すのは難しいです。
話を先日の、人々はこうも違いその違いがいい、の話に戻します。
人はみな違います。それはわかっていても、どう違うかとなると様々な意見があり説があります。夫婦、家族、友達、同僚、上司、部下などどの関係をとっても、何のズレもなく100%スムーズに行くなんてことはまずあり得ないことです。人がみな違えば、どこかに、必ず、何らかの形のズレ、摩擦、軋轢、プレッシャー、力関係のバランスなどが起ってきます。価値観の違いと方法論の違いが原因のほとんどを占めるのではないでしょうか。
結果に何を求めるか、どういう過程を通るかを軸として4つのスタイルに分けた人がいます。アメリカのLinda Berens (リンダ・べレンズ) という女性です。
1 成果を出すためにすばやく決断し即実践するスタイル。もたもたすることがなく、すばやく状況を判断し、すぐに結果の出る方法を充当します。決断が早く、動きが早く、やるスピードも速い。必要な資源や時間を調達し、みんなが動けるよう監督し教え、そして、動かします。時に予測した結果と違ったものが出てきたらすぐに修正に入ります。ここでは、仮に即断実践スタイルとでも呼びましょう。べレンズ氏の言葉では、In Charge(管理を握っている、担当している、任されている、その役目にある)といいます。
2 最高のできばえを得るために熟慮し支援体制を作るスタイル。たくさんの情報や意見を取り入れ、それをまとめながらもできるだけ理想に近いものを完璧の域まで高めた結果を得るために尽力します。総合的な動きを眺めながら、足りないところを補い、支援し、ことがらを明瞭にしながら、最終目的を目指します。理想的なものができるまで納得しません。ここでは、仮に縁の下の力持ち、あるいは、参謀と呼びましょう。べレンズ氏の言葉では、Behind-The-Scenes(表に見えないところで)と言います。
1と2のスタイルの人々が、そういうことを知らないまま一緒に仕事をしたらどうなるでしょう? すぐにも「時間」と「流れ」が問題となってくるのは火を見るよりも明らかです。でも、お互いのスタイルを知っていたら、互いに妥協できない部分はあっても、少なくともそれぞれの違うところを補填しあう意識を持ち努力することができます。
3 目標を定め、その目標に向かって最大限近づける努力をするスタイル。旅をするには、目的地と地図を必要とします。目的地が定まって初めて行程がわかり、用意するものもわかります。それがわからなければ出発することもできません。しっかりと予定を立て、計画を立て、万が一のことに備え、行く先々で、必要に応じた調整を試みながら目的に向かいます。意図した目的に達することが優先となります。ここでは、長期展望スタイルとでも呼びましょう。べレンズ氏の言葉では、Chart-The-Course(海図を描き航路を導く人)と言います。
4 チームでまたは大勢の人々と一緒に協力することに意義を見出すスタイル。みんなの合意を得ながら、一緒に物事を進めていくことに重きがあります。過程そのものが重要で、そこに「愉しさ」が見出せることが大事であり、生き甲斐とさえなっていきます。物事を難しく考えず、なりゆきになかせながらみんなの意見を取り入れ、全員が納得できるように物事を運んでいきます。ここでは、愉快爽快スタイルとでも呼びましょうか。べレンズ氏の言葉では、Get-Things-Going(物事を動かしていく)と言います。
3と4のスタイルの人々がそれぞれのことを知らずに作業をするとどういうことになるでしょう。長期展望スタイルは、愉快爽快スタイルはあまりにも無責任と映り、逆に、愉快爽快スタイルは、長期展望スタイルの人々は、なんて融通の効かない真面目一方な人たちなのだろうと感じるでしょう。
長期展望スタイルの人々にとっては、即断実践スタイルの人々と同じリズムで作業し仕事をすることはほぼ不可能です。即断実践スタイルの人々はなかなか動かないことにイライラ、長期展望スタイルの人々は、なぜ事をそう急ぐのかもっと慎重に考えよと非難したくなります。お互いのスタイルを知ったら、それぞれが補填し協力し合えるところがたくさんあります。
この4つのスタイルは、いろいろに組み合わせてみることができます。それぞれの組み合わせで、相手にどう見えるかが違ってきます。生徒たちは、この方法でグループに分かれてactivityをしました。鮮やかにそれぞれの特徴が表れ、自己はもちろんのこと互いに対する知識も多いに取り入れたことと思います。その知識を将来道具としていろいろな人間関係の間で役立てて欲しいですね。