羅針盤2
投稿日:2012年12月5日
私たちは、日々、数え切れないほどの決定をし、それに従って行動します。
例えば、朝何時に起きる。先に朝食を食べるかそれともシャワーを浴びるか。朝ごはんはパンかご飯か。赤い洋服にするかパステルカラーにするか・・・・などなどから始まって、夜寝るまでの間に、一体どのくらいの決定をするのでしょう。そのほとんどは、決定していることすらまったく意識していないのではないでしょうか。意識しているしていないに関わらず、すべての決定は、自分の意思で行われます。
万事が順調に動いている際には気が付かないのですが、何か起こった際に、自分の下した「結論」「決定」「決断」が結果的に間違っていたという現実に向き合うことがあります。そんな際には、意思決定をしたことを否応なく叩き付けられます。ある時には、あとになってから、一体、自分はなぜ、どうして、そんな決定をしたのか、自分が何に導かれてそこに至ったのかがわからないようなこともあります。
そんな時、自分を突き上げるもの、自分を引張るものが何であるのかがわかったら、いろいろなことがもっと明瞭に見えるのかもしれません。
例えば、The Hero’s Journeyのワークショップで、ある生徒が選んだマジック・パワーは、ランプでした。そして、選んだ動物は、カラスでした。(カラスが、この生徒を選んだのかもしれません。カラスには、法・掟という文字が書いてありました。
古代からの動物の役目や象徴となっているものを研究しているScott Alexander King 氏の解説によると、カラスは、過去、現在、未来のいずれにも存在すると考えられ、陰陽のように、光の中にある時は陰となり、陰にあるときは光となり、世界をあらゆる角度から眺めている動物で、人間に対し、心の内にある静かなところから知恵を探し出し、善だ悪だと明確な区別をしてしまうよりも、むしろ、自分自身の判断を信じ、大事なときに、最も思慮深い判断をすることを奨励しているとされています。自分の深いところにあるものを信じ、人生の目的をそれに委ねても大丈夫、自分がして欲しいことを人に施し、自分がしなければならないことを人がしてくれるなどと決して期待せず、人を傷つけるような行為は決してしない。それがカラスの教えだということです。
その生徒は、常に思慮深く、とても優しく、みんなから慕われ、敬われています。上記の宇宙の掟どおりに生きているような生徒です。静かなたたずまいの中に、常に、しっかりとした芯を持ち、自分を崩すことがない一方で、周りの人々にも常に心配りを見せ、一定の規律をきちんと保っています。
瞑想の後に、白い紙の上にある円の中に、なんでもかまわないから、手の動くままに描いてみて、という課題では、「最初は何を描こうかまったくわからないかったけれど、手が自然に動いたら、コンパスができていた」ということでした。描かれていた曼荼羅は、4つの部分に分かれています。ちょうど、部屋の中が、東西南北、あるいは、4つの季節、そして、四元に分かれ囲まれていたように。
コンパスは、航海の羅針盤です。
人間の長い人生という道を歩むにも、羅針盤があるとないでは、その生き方に大きな違いが出ましょう。
この生徒が選んでいたマジック・パワーは、ランプでした。ランプは、行き先を照らすものです。
これらのシンボル・象徴は、無意識下の深遠なところから出てくるもので、それをどう捉えるかは、もちろん、その生徒が感じ取り、考えたらいいことです。また、未来のどこかで、ああ、そうか、と意識として捉えることができるようになる時がいずれあるのでしょう。
今は、意識としてわかってもわからなくても、留学での1年の自分探しの旅を終え、これからまた環境の違う日本に戻る際に、自分が羅針盤とするものをしっかりと持ってこれからの道を歩んでいけることは、どれほどに心強いことでしょう。
一人一人の生徒たちに示されたもの、意味は、それぞれに違い、羅針盤は、一人の例です。それぞれの生徒が、今はよくわらかなくても、この先の人生の旅に 役立つものを何か掴む取っていれば嬉しいことです。