コミュニケーション
投稿日:2012年12月21日
良いコミュニケーションのあるところには、良い関係がある。
良い関係のあるところには、効果的なコミュニケーションがある。
ということが言えると思います。
家庭でも、学校でも、企業でも、親子の間でも、夫婦の間でも、友達の間でも、上司と部下の間でも、ビジネスの相手であっても、コミュニケーションが上手に、機能的に、効果的に行われているところでは、物事がスムーズに動き、人々の感情も穏やかでなごやかであることが期待できます。
一方、伝えたいことが伝わらない、善意で言ったはずのことが誤解された、言うべきことが伝わっていなかった、間違った情報が行ってしまったという状況では、どんなことが推測されますか?
相手は、困惑したり、怒ったり、誤解に基づいてさらに誤解を重ねたり、挙句の果ては、口論になるかもしれないし、無視されるかもしれないし、大喧嘩になるかもしれないし、相互の関係は一挙に壊れてしまうかもしれません。
良いコミュニケーションを生み出し、それを維持していくことは、実はそう簡単なことではありません。いつも伝えたいことが相手が理解できる言葉で伝えられるとは限りません。いろいろな言葉を選んで伝えても、真意が伝わるとは限りません。相手が聞きたいことを聞きたい言葉で言えるわけでもありません。相手によって、言えること、言えないこともあります。
このコミュニケーションが上手にできるかどうかで、ホストファミリーにおいて、良い関係を築けるかどうか、自分の心地よい居場所を確立することができるかどうか、かわいがってもらえるかどうかが決まると言ってもいいでしょう。
これは、英語力の問題かというと、まったくそうではないのです。もちろん、英語力があればあるほど助けとなります。でも、英語力があるからコミュニケーションが図れるかというと、そうではないのです。コミュニケーションの基本は、言語ではありません。コミュニケーションの基本は、心、心持ち、意図、熱意、関心です。ホストと話をしたいかどうかにすべてかかってきます。
ホストファミリーのメンバーの性格や仕事や生い立ちや考えていることや感じていることに関心があれば、たくさんの質問が口をついて出てくるでしょう。ホストファミリーのメンバーと友達になりたいと思ったら、自分のことや自分の日本の家族のこと、日本の学校のこと、自分の将来のことなど、自分について知って欲しいと思うでしょう。オーストラリアの文化について知りたいと思ったら、日常のいろいろなことについて、教えて欲しいと思うでしょう。英語に上手になりたいと思ったら、自分が覚えた単語や文章を使ってみたいと思うでしょう。英語に上達したければ、ホストの話に熱心に耳を傾け、自分のできるだけ会話に入りたいと思うでしょう。
本当に意思疎通をしたいと思ったら、手振り、身振り、辞書を使う、絵を描いてみる、写真を見せる、などどんな方法でも使えます。言葉がなくても、なんとかなることがたくさんあります。
コミュニケーションの大事な要素のひとつは、情報交換です。今日のあなたの状態がどんなであるかは、ホストが一番気にかけてくださることです。健康状態、心の状態、外出の際の居場所や帰りの時間、学校からの帰りの時間など、学校であったこと、学校で学習したこと、あなたについてのいろいろなことをホストファミリーは知りたいのです。何も知りたくないのであれば、あなたを自分の家に預かる理由は何もありません。交流を持ちたいからこそ、あなたを預かろうと決められたのです。
でも、実は、この部分が、日本人生徒が、一番戸惑う部分なのですね。関心をもたれることを、「干渉」と受け止めてしまう生徒がいるのです。それも、結構、数多く。
その原因を突き詰めてみると、日本の文化というか社会の風潮にあるように思えます。日本では、大人と子どもの間の会話や交流よりも、高校生ともなると、友人どうしの会話・交流が主となります。クラブ活動や学習に忙しく、帰宅時間が遅い、夕食を食べお風呂にはいれば、もう自分の部屋に行く時間。夕食も家族が別々だったり、一緒に食べてもテレビがついていたり、あるいは、お父さんもお母さんも忙しくされていて落ち着いて話をしている時間ガ無い・・・ということなのですね。
今日本にいる時に、お父さんやお母さんといろいろな話をする、自分の予定や自分が考えていること、感じていることをいろいろ話してみる、ということがとても大事な要素になってきます。意識して、コミュニケーションを図ってください。