オーストラリアの山火事
投稿日:2013年1月13日
ご連絡が遅くなりました。
オーストラリアの山火事に関して日本でも報道があり、ご心配された方々もおありかと思います。シドニーから遠い内陸部や他の州でのことでしたので、あえてここでは取り上げなかったのですが、大丈夫であることを改めてお伝えします。
内陸部での山火事もここ数日でおさまってきました。先々週から先週にかけて、日本が21~25個(文献によって違うのですが)もすっぽりと入ってしまうような大きな全土が、西からの熱波に見舞われ、40度を越すところがほぼ全域となる日が数日ありました。シドニーも35度になるところもあり、普段あまり体験することのない暑さとなりました。
現在では、日中の気温は20度から25度くらいです。内陸部でも大分気温が下がってきています。
内陸部では、40度を越えることが稀ではないのですが、40度がどのくらいの暑さかというと、太陽の光を直接に浴びると、肌に針を刺されるような感じがします。でも、一旦木陰や家の中に入ると、湿気が無いので、それほどの暑さを感じません。
シドニーは、海沿いですので、そこまでは温度があがらないと同時に、海からの風で助かっています。
内陸部では、暑い温度がずっと続けば、湿気がないだけに、地上にある下草や落ち葉は、カラカラに乾いてしまいます。オーストラリアは、ユーカリに覆われ、ユーカリの木は油を豊富に含んでいるので、一旦火がつくと、あっという間に燃え上がります。自然発火の山火事がよく起こるのですが、稲妻やガラスのような破片から火が起き、一旦、火の粉が舞うと、もうその広がりをなかなか止められなくなってしまう状況にあるようです。
アメリカのカリフォルニアでよく山火事が起こり、あっという間に大きく広がってしまうことがあるのは、ユーカリの木が多いからです。
オーストラリアでは、ユーカリは、コアラたちの貴重な食べ物の木であり、薬用のオイルなど役立つこともたくさんあるのですが、火には、弱いのです。でも、表面が燃えたユーカリの木は、数ヶ月もするとそこから青々とした新芽を出してきます。
この山火事が、実は、オーストラリアの自然体系を保つためのひとつの自然界の摂理でもあるといいます。
というのは、オーストラリアには、山火事があって始めて火のプレッシャーで種がはじけ、そこで発芽できる植物がいくつもあります。こういう種は、金槌でたたいても割れるようなものではなく、20年も50年も山火事が起こるまで待ち、山火事があって始めて再び樹木として成長できる機会を与えられるというものです。
昔は、そういう山火事があっても自然鎮火を待っていればよかったのですが、今は、開拓が進み、農場や村落ができているので、山火事が起これば大きな被害が出ます。
一時は、NSW州だけでも100を越す箇所で、山火事が起こりました。オーストラリアで消火にあたる消防士さんたちのほとんどがボランティアです。その方々の日夜の努力、オーストラリアの全土からの支援、ニュージーランドからの支援などで、1週間後の今は、ほとんどの場所で鎮火されたということです。
幸いにも、シドニーでは、影響は一切なく、人々は普段をまったく変わらない生活を送っています。