静かなシドニー湾
投稿日:2013年1月14日
11日、Garden Islandに行ってきました。
休暇中にシドニーに滞在している生徒たち数名と以前から約束していたエクスカーション(遠足・野外研修・社会見学)です。
去年の11月に「和解の海」でお話したマーガレット・クーツさんのお家をお訪ねし、お話を聞かせていただくのが主旨で、Garden Islandにはマーガレットさんのお話の中に出てくる実物が展示されています。
Garden Islandは、かつては島で、植民地時代には、囚人たちが野菜を作っていたということです。平らではなく、丘陵地なので、野菜作りは難しかったのではないかという印象でした。その後は、シドニー湾に進入してくる船を見張るのには絶好の場所であり、監視と共に、航行してくる船に旗で信号を送る場所として長い間使用されていたようです。
現在は、オーストラリア政府の海軍基地になっています。陸地と繋がれているのですが、海軍基地であることから一般人は車で行くことができず、唯一の方法は、サーキュラー・キーというオペラ・ハウスの横の大きな波止場からのフェリーを使ってです。
島の入り口のフェリー波止場には、監視員が立っていて、立ち寄る目的が尋ねられ、滞在時間の確認がありましたが、身分証明書を求めることもなく、島の中ではまったく自由でした。といっても、柵があるので、その中だけのことなのですが・・・ それでも、この国ののんびりさが伝わってきたような気がしました。70年前に戦闘に使われた潜水艦を見にきたので、当時のことを思う私のほうが緊張していたのかもしれません。
松尾敬宇氏と都竹正雄氏が乗っていた潜水艦の一部が展示されています。この説明には、お二人は豪海軍の儀式に則り、荼毘に付され、遺灰が日本に戻されたとあります。日本の戦国時代の武将たちが、「敵ながらも天晴れ」と互いの武将ぶりを称えあった精神に似たところがあるのでしょうか。「敵軍であっても、その勇敢さは称えられ名誉を与えられるべき」と、国のために勇敢に戦い命を捧げた人々に対する、たまたま生まれた育った国家を超えた人道的な精神がこういう形で表されることに感動を覚えます。
このへんの詳しい経緯は、土屋氏の著書「和解の海」に同じく戦争に巻き込まれた人々の気高い精神やその裏にある家族の想いや当時の様子が、大変詳しい調査に基づき、人道的な視線から綴られています。Amazonで購入が可能ですので、日豪関係に関心をお持ちの方に、お勧めしたい本です。
Garden Islandから見るシドニー湾は絶景だから写真に収めておくようにと監視員の方に言われたのですが、まさに、絶景でした。
この後、マーガレットさんのお家で歓待を受け、1時間ほど訪問させていただく予定が、3時間にもなってしまいました。
普段から、私たちは、この国でとても大事にされています。学校においても、ホストファミリーを通しても、そして、地域社会のいろいろな場面で感じられることです。
たまたま日本から新外務大臣が訪豪しています。日豪の軍事同盟を強めるという発表がありました。国家が、対どこどこの国に対して軍事力を強めるという形で動けば動くほど、私たち一人一人の国民が、互いの国を友好的に行き来することで文化交流を草の根のレベルで広め、今有る友好関係をさらに深めていく必要があることをますますと感じます。
留学生を含め、そうした友好関係を自らの手で築いていける機会に恵まれている私たちは、なんて幸せなことでしょう。
どうぞ、留学してくる皆さんは、両国の文化的な友好関係をさらに深めるために自分が貢献できるよう、日本人としての誇りを持ちながら、オーストラリアの人々との毎日の生活に自分の良い活力を精一杯注ぐ気持ちできてください。