旅で出会うこと

投稿日:2013年4月15日

 お休みに入って、生徒たちはどんな時間をすごしているのでしょう?

キャンベラへの旅行の用意のために、宏子先生が、私からのメッセージを生徒たちに送信してくださいました。その最初に、こんな文言が入っていましたので、ご紹介しましょう。

「金曜日のハーモニーデイは、皆さんの力の総結集で大成功でした。
朝一番から、野菜を切ったり麺を茹でたり、焼いたりいためたりと、全員が休む暇もなく働き続けてくれたこと、何よりも一言も不平や文句を言わずに最後まで責任を持って仕上げてくれたことに、感謝です。ありがとう!!

力強い演奏で観客の心を引き付けた和太鼓、練習を重ねる毎に上達していき、本番では本当にみんなの気持ちが一つになって迫力のある最高の出来となったソーランダンス。

キッチンがピカピカになるまで頑張った後片付け。
すべてがICETの生徒たちの総力で成し遂げられました。

次の大きなイベントであるキャンベラ旅行も、一人ひとりの力の結集で、素敵なものになることを期待しています。」

生徒たちが一生懸命にがんばった様子が彷彿しています。大きな拍手を送ります。

話は変わります。

名古屋方面にある某高校から、将来ICETに生徒たちを送りたい希望があるというお話をいただき、今日は、詳細を説明させていただくために学校にお邪魔させていただきました。校長先生、教頭先生、留学担当の先生の3名が約4時間おつきあいくださいました。とても真剣にこのお話を進めてくださっていることの表れです。

校長先生が、「こんなプログラムだったら、僕自身が参加したいです、若ければ」とおっしゃってくださいました。かつてバンクーバーに滞在された時に、留学生の華やかなイメージの裏にある実態ということでかなりひどい話を住民の方からたくさん耳にされ、心配されていらしたことがたくさんあったようです。そうした心配がクリアされただけでなく、きちんと構築されたプログラムに則って1年を送り、それぞれが成果をあげられるサポートがきちんとあるということで、「安心して生徒にも保護者にも薦めることができます」と言ってくださいました。ありがたいことです。

そこで、改めて思ったのは、ICETのプログラムの内容をあまり詳しくご存知ないままに参加されて見える方々が今年は多々おられるのではないか、それならば、改めてご説明申し上げる必要があるのではないかということでした。

旅の途中でおもしろい場面がありました。新幹線から降りる際、降り口の最初に二人の子供連れの若いお母さんがいました。赤ちゃんを一人抱いています。そして、荷物が3つ。一人では、とても大変な状態です。私とその方との間には男性が二人いました。荷物を手伝ってあげたいと思っても、そこには届きません。やがて、列車のドアが開き、案の定、その若いお母さんは、苦労されていました。でも、すぐ後ろにいる二人の男性は、助けようともしないでただ立って見ているのですね。かばんをひとつ持ってあげるだけでいいことなのに・・・ ICETの男の子たちなら、すぐに、「持ちましょうか」と動くだろうにと思いながら、歯がゆいこと仕切り。ついに、言ってしまいました。「すみません、かばんを持ってあげていただけますか?」と。

すぐ前の男性はギョッとした感じで後ろを振り返り、でも、あわててかばんを持ってあげ、ホームに降りました。若いお母さんも、その人に「ありがとうございます」とお礼を言っていました。この間、わずか数秒のことでした。気が利かなかったのか、それとも、手伝ってあげたいと思っても気恥ずかしくてできなかったのか。

それからしばらくして、今度は、自分が預けていたスーツケースを持って電車に乗る際のことです。駅内で階段が5段ほどある場所があり、書類で重いスーツケースに四苦八苦していると、すっと、近寄ってきてくれた人がいます。一緒に持ち上げてくださいました。日本で外国からの方に会うと、相手の方が英語が使われるまでは、私は、通常日本語を使います。今日も、「ありがとうございます」と日本語で応答したのですが、その方から、「アトンデ」という小さなつぶやきが聞こえてきました。”attendez”、ちょっと待ってというフランス語です。ご自分が持っていらした荷物が肩からずれ、私の荷物を持ち上げるのをちょっと待ってというタイミングでした。

その後、”Merci beacoup(ありがとうございます)”と伝えたら、それまで、静かな微笑を浮かべていただけだったのが、相好を崩すというのは、こういうことを言うのかなと思うほどに、この若い黒人の青年の顔がこぼれそうな笑顔で包まれました。突然に瞳が輝き、本当にどうしていいかわからないほどの喜びをたたえた笑顔でした。

たった一言のこんな言葉のやり取りと助けが、こんなにも人をいい気持ちにするものかと、荷物を持っていただいた私も暖かな気持ちに包まれ、持ってくださった彼も母国語でのありがとうに感激していました。

 

 

 

 

 

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