発音とイントネーション

投稿日:2013年5月27日

言葉、言語というのは、おもしろいものです。

通訳のために私が日本語を話しているのを横で聞かれ、DHSの音楽の先生が、「日本語は、まるで歌っているようだ」「とてもポエティックに響く」と言われたことがあります。日本語は、子音に母音がくっつくので、明るい音がしてきれいなのでしょう。

私の夫は、生粋のパリジャンだったのですが、「イタリア語は歌うための言語。ドイツ語は、馬を調教するための言語。フランス語は愛をささやくための言語なのだ」と言ったことがあります。

もう15年も前に亡くなっていますので、天国でも、そんなことを言っているのかもしれませんが、これを聞かれたドイツ人の方も時効として聞き流してくださっているでしょう。

ところで、日本人が、英語を聴く際には、どの英語がきれいに聞こえるのでしょう?

イギリスの社会では、英語の話し方で、どの階層の出身かわかると言われます。日本語に格と品があるのと同じです。

イギリスの女王陛下の英語は、訥々として平坦で、発音にもあまり抑揚がないのですが、でも、これが最高に洗練された英語だと思えば、発音や抑揚を取得しようと思います。でも、たいていの日本人が言うように、アメリカ人の英語のほうが、「英語らしく」聞こえるというのは、極めておもしろい事象です。

舌が巻かれ、Rの発音が強く、抑揚がつくアメリカ英語にわれわれの耳が慣れているからなのかもしれません。時々口先で、舌の上だけでコロコロころがるようなきれいなイギリス英語を聞いて、「ああ、あんなきれいな英語が話せるようになりたい」と感動する生徒もいます。なんとも言えなく上品なのですね・・・

さて、一方、日本人の話す英語なのですが、発音、特に、語尾の子音の発音がきれいで、そのうえ、イントネーションがついていたら、本当に上手な英語に聞こえます。仮に文法が伴っていなくても、他の人々の耳に心地よく響くのです。文法がきちんとしていても、and, butといった単語のレベルでカタカナ音が入ってしまうと途端に興ざめ。決して上手に聞こえません。不思議ですね。日本人は、なんとなく気恥ずかしくて、あえて、カタカナ音にしてしまうことがあるようです。

 私は32年前に、スペイン語圏から英語圏のオーストラリアに来た時に、言われたことがあります。

「人間は、3歳までは、どの文化のどんな言語の元にいても、必ず、その言語を話せる能力を持っている。でも、3歳を出て、大きくなるほどにその言語を聞く機会がなければ、それだけ再生能力は劣っていく。だから、あなたがその年齢で英語を勉強するには、nativeの音を再生することはもう不可能だとしても、できるだけそれに近い音を学んだらいい」と。

 この不可能だという予言は見事に当たってしまったのですが、それでも、発音だけは、近づけようと努力してきました。

そして、先日「十代の脳」という研修会で、「3歳までなら、どんな音でも人間は再生できる。」とまったく同じことを聞きました。でも、ひとつ違う重大な情報が加わりました。「完璧に再生するためには、その音は、nativeの人のものでなくてはならない」というものです。

鼻や喉の奥で作る音や舌の巻き具合などは、nativeの音を聞かなければ、その微妙な違いまでを聞き取ることはとても難しく、nativeでない人の正確ではない音でやっても再生は可能ではないというものです。

背筋が寒くなりそうでした。カタカナ英語を覚えてしまった日本人の英語の発音の矯正がいかに難しいかもわかります。それでも10代の脳は若い。良い発音とイントネーションをしっかりと真似、上達することに専念して欲しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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