一足先を行く先輩から

投稿日:2013年12月1日

去年の卒業生から今年卒業する生徒たちに向けて、メッセージが届きました。

日本に戻ってから、どういう心境を経ていくのか、体験者でなければわからないことです。帰国後の反応、対応は、生徒によって違います。でも、留学中の飛び込みが深ければ深かったほど、そして、留学から得るものが大きければ大きかったほど、帰国後に悶々と悩み苦しみ、様々な感情を繰り返すことは、これまでの多くの卒業生からの便りから似たような精神的な過程を通ることが確認されています。このメッセージの贈り主も、この1年間自分の道の模索を楽しみ、苦しみ、悩み、解決を求め、さまざまなことをしてきた若者です。

こんなふうに心境を綴ったメッセージを後輩に届けてくれることは、とてもありがたいことです。

卒業するみんなへ

「あなたはもう日本に帰る。でも、もうあなたの住んでいた生ぬるい日本はない。でも、生ぬるいあの日本を作ることはできる。でも、刺激的な日本を作ることもできる。

大切なあなたへ、予防接種を送ります。あなたが日本の人混みにに埋もれてしまわないために。あなたが日本に殺されてしまわないために。あなたがどこか素敵な場所で待っている「私」という自分に出会うために。

こんにちは、ぼくはみんなのひとつ上のICET卒業生、三村大輝です。みんなに何度も何度も手紙を書いたけれど 、送ることができなくて、結局、帰国間近のこんな時期になってしまいました。なぜ、送れなかったかというと、ぼくはみんなになにかを助言できる立場の人間ではないと思っていたからです。みんなが留学生活をしている時に、ぼくのしてきた経験や、絶景が見られる場所や、思い出に残るイベントとかをたくさん教えてあげられることはできたのだろうけど、それがみんなにとって本当に必要で価値あるものになる自信がなかったからです。でも、ぼくがそちらから帰国して1年がたった今、少しはみんなの未来を照らす知恵を得ることができたと感じるので、こうして手紙を書いています。それは君たち全員に必要なことではないのだろうけど、君たちの中の誰かにとって電子辞書のように大切な存在になることを信じてこれから話します。

 

日本の上下関係、ボクとアナタは違わない

 学校で、先輩と話したりしていると、とっても大きな存在に感じないですか。なんだか自分の何倍もある決して追い付けない存在のような気がしませんか。11年や12年生を見て、スゴい!って思いませんか。ぼくはあんまり思いませんでした。でも、去年の留学中にひとつ上の11年生を見たときには、スゴい!って思いました。でも、今となれば、ぼくもあの時の彼らと同い年です。この年齢になってみれば、なんだこんなものかって思います。たしかにぼくは成長したけれど、去年のぼくに対して、いばれるほど大きくもないし強くもないです。みんなだって思い返せば、中学の頃におそろしかった先輩よりもう年上でしょう。笑

 

立場に負けないで
なにが言いたいのかというと、先輩や後輩って区別があるけれど、そんなものは大して重要ではなく、その人が優れているか劣っているかなんだということです。どっちに情熱的な夢があるのか無いのかってことなんです。それは先生と生徒の関係や親子関係でも同じです。あなたが先輩や先生や親に否定され、突き放され、立場で圧倒されそうになったとしても、それはあなたが弱いのではなく立場が悪いだけなのです。立場なんて幻想です。そんなあやふやなモノを盲信して負けてしまってはなりません。年上の人よりあなたの方が優れていることだって十分にあり得るのです。そして、自分より冴えない老人が尊敬に値することだって往々にしてあるのです。ぼくの言っていることを履き違えないでくださいね!

 

みんな特別

あなたは誰にも負けない1年間を過ごしてきたのです。自信を持って、私はこうだ!これが私だ!あたなではない!と主張しましょう。なぜならぼくたちはICETで自分のあるべき姿を発見し、その姿を形にしてきたのですから。だから立場などに屈せず、あなたの個性を守りましょう。もうじきあなたが過ごすことになる、「みんな一緒主義」の学校に 潰されてしまわないために。絶対にあなたが目指すべきものはなんでもできる隣のクラスのあの子ではなく、あなたのなりたいあなたなのだから。

 

みんな、今しばらくは特別だけれど…

では、実践的な話をしましょう。どうすれば、あなたをあなたらしく保てるのか、成長させられるのか。それは、絶え間ない自分磨きです。ろくに英語が話せないのに、俺は留学したんだ!とか、私は海外経験があるの!なんて言えたものじゃありません。分かりますか?あなたが個性を主張することができるのは、他の誰もしていない、誰にもできないような自分磨きや努力をしている時だけなのです。なにもしていないグータラ野郎が個性など語る資格があるはずありません。あなたがその他大勢に埋もれないスペシャルな人であるためには、それだけの努力という対価を支払わねばならないのです。やり方はもう分かっているはずです。みんなは1年間、日本では誰もしていないような努力をしてきたのですから。

 

エラそうなことを言うあなたは?

じゃあ、お前はどうなんだって思っていますか?私はすでにこうしててみんなに手紙を書いています。他の留学生がしていないスペシャルな努力の一種です。私はたくさんの本を読んでいます。これも自分磨きのためです。私は潰れそうなほど悩んでいます。それは私を取り囲む、私を否定する人々に惑わされないためです。私を誰かに持っていかれないために、私の存在をこの手でガッチリと掴むためです。簡単に言えば、私が私であるためにです。さらに、私は言葉を山ほど書きます。感じたこと、知ったこと、閃いたこと、あったこと…毎日たくさん。すべては常に新しい自分に変わり続けるために。

 

みんなが心配

あなたが想像していた努力ではなかったのかもしれないけど、これらの努力なしにはぼくはきっとこの手紙を送れていないでしょう。もちろんみんなが読むこともなかったでしょう。ところで、初めにも書きましたが、ぼくがこんなことを話しているのは、みんなが日本でできるだけのびのびと生活してもらうためです。そして、そちらで学んだことを忘れないためにです。残念だけど、ぼくの周りには留学中とは別人のように疲れた顔をして、情熱を失いダラダラと生活している仲間が少しばかりいます。ちなみに、僕を含めた20人くらいの留学生のみんながこの国の教育に幻滅した目をしています。だからぼくはみんながそうなってしまわないかとても心配なのです。いや、きっとみんなも帰国して半年もすればそんな目をしているでしょう。だからこそ、あなたが自発的に自分を磨いて、確立した個性を持たなければならないのです。

 

あなたの行動しだいで…

まとめましょう。あなたの頑張りしだいで学校の先生より優れた英語の使い手になれるでしょう。あなたの頑張りしだいで、先輩が自分より子供に見えるでしょう。あなたの頑張りしだいで、誰かを幸せに導くことができるしょう。あなたのサボり方しだいで、毎日テレビばかり見ている人になるでしょう。あなたのサボり方しだいで、あなたの可能性を信じられないくらい小さくするでしょう。あなたのサボり方しだいで、親に留学なんて行かせなければよかったとつぶやかれるでしょう。もちろん逆もまた然りです。あなたの頑張りとは、あなたがなりたい自分になるための努力です。それには、なりたいものを探すことも含めます。

 

最後に

これでよかったのだろうか…もっとできたんじゃないだろうか…ああやっぱり後悔ばっかりだ…なんてことを考えながらオーストラリアを去るなんて愚かだ。あなたのこれまでの決断はなにひとつ間違ってやいなかった。そして、これからあなたが考え、自分を信じて下した決断のひとつひとつに何一つとして間違いがないことを断言します。

1年間、ご苦労様でした。あなたはマラソンのスタートラインに立たされてしまいました。あなたはこれから気持ちのいい流れるプールがいつも隣にキラキラと流れている、真夏の過酷なマラソンの参加者です。すなわち長期的な自分との戦いです。

日本はあなたを温かく迎え、あなたの弱き意思からジワジワと攻めてくるでしょう。特別であろうとするあなたには、特に厳しく、そしてしつこくね。では、検討を祈る!」

以上、ダイキ君からの卒業生への励ましの言葉でした。まさに、体験を通してしか語れない言葉や感覚が並んでいます。

高校生の留学とは、かくも壮絶なものなのです。これからの人生の核を作る、そんな大きく重大なものなのです。

このブログに掲載した「イギリス紀行」は、ダイキ君の作品です。その続きも、また、読ませて欲しいですね。貴重な投稿をありがとう。

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