ホストファミリーのマッチング
投稿日:2013年12月2日
来年度のICET生とホストファミリーとのマッチングが大詰めになってきました。
ホストファミリーとの生活は、留学の基盤です。ホストとの生活が上手に行けば、勉学が落ち着いてでき、学校や地域社会でのいろいろな活動に楽しく参加することができます。
逆に、人間関係がギクシャクすると、ムシャクシャした気分になったり、不安になったり、心配したり、すべてのことに嫌気がさし、勉強などどうでもよくなってしまいます。
今日は、どんなふうにしてホストファミリーが選ばれ、生徒とのマッチングが決定するのか、その過程を簡単にお話します。
ICETの生徒たちが、時に問題が発生しても、全般的に良いファミリーに恵まれ、安心して生活ができているのは、偏に、ホームステイコーディネーターの梅井寿美子さんのお陰です。生徒たちには、「スー先生」の愛称で親しまれています。
この職務に携わって、17、8年になりますでしょうか、ベテラン中のベテランです。
ICETのプログラムに参加する生徒たちは、保護者の皆様と一緒に、前年度の9月末か10月始めに、全員がスー先生と面談をします。
その目的のひとつは、参加する生徒のいろいろなことを知り、できるだけその生徒に合ったホストファミリーが選べるようにする、というものです。
長年ホストしてくださっているファミリーのリストがあります。中には、もう10年を越えるお家、そろそろ10年になるかな、というお家もあり、数年連続でというお家はたくさんあります。足りない場合には、多くは、現行のホストファミリーからお友達を紹介していただきます。時には、生徒に頼んで、学校近隣の郊外の家にチラシを配布することもあります。
新しくホストを希望してくださるファミリーがあると、まず、電話でのインタビューし、ホストしたい目的を尋ねます。そこで、適宜と判断されたファミリーには、スー先生が書類一式を持って一軒一軒訪問します。
そこで、いろいろなことの確認が行われます。家族構成、それぞれの年齢や趣味、家族の雰囲気、家庭の様子、生徒に貸してくださる部屋の大きさや位置や家具、家族として受け入れ保護者代わりとして面倒を見ていただけるかどうか、家族の1日の動き、生徒に何を期待するか、ランチを必要な際には作っていただけるかどうか、スポーツ活動などへの送り迎えをしていただけるかどうかなどなど、質問事項は無限にあります。
そして、このファミリーならいいという確信を得たところで、警察の無罪証明書の発行を依頼します。
そうして、集まったファミリー情報と、生徒の情報を照合していきます。スーさんの大きなテーブルは、書類で一杯になり、照合は2ヶ月余り続きます。
これ以上ない、と思うほどにピタッと合っても、猫アレルギーがあって猫がいる、ということがあれば、その組み合わせは消えます。あるいは、ピアノが欲しいとなれば、ピアノのある家は本当に少ないので、ピアノがあることが軸となり、あとの条件には目を瞑ることになります。
単純計算でも何十通りの組み合わせがあり、そこから、ベストと思われるものを選びます。
ホストファミリーにはオリエンテーションに参加していただき、日本人生徒をホストする際の注意事項を学んでいただきます。
そんなふうにして、1月末に、ごたいめ~ん、ということになります。数ヶ月かけてマッチングした組み合わせでも、そこは、人間同士、ケミストリーがうまくマッチしないこともあります。でも、ほとんどの生徒たちが、とても満足したホームステイ体験をすることができています。
ホストと生徒がどのように絆を築いていくかは、すばらしい体験談がありますので、ご紹介します。まるで、だんだんと好きになっていく恋人との駆け引きのような場面もありますが、それが次第に切っても切れない絆になっていく様子が本当にこまかくよく描写されているので、来年度の参加者に参考になりましょう。先日、卒業して日本に帰国したミホさんの体験談です。
日本への帰国が迫り、ご両親がオーストラリアに来てくださった際に書かれた作品です。
「私がシドニーに来たのは2011年の1月のことでした。その時はまだ3年留学をするとは夢にも思っていず、1年間をどうやって有意義なものにするのかということしか考えていませんでした。1月にシドニーに到着したといっても私がシドニーに滞在したのはたった1週間でそのあとすぐに私を含めた4人の女生徒はスワンヒルというビクトリア州の小さな街に移動しました。そこで私は半年を過ごし、そのあとシドニーに残りの半年間を過ごすためにやってきました。
私が今のホストファミリーと出会えたのは実はとても偶然が重なったラッキーなことでした。まず、元々1年間スワンヒルで過ごすはずだったところをシドニーに戻ってきたこと、たまたま私がシドニーに戻る直前にこのファミリーに部屋の空きができたことなど、いくつもの偶然が重なって仮のホストファミリーとして住み始めた家で私は結局シドニーでの生活すべてをすることになったのです。
これまでにもいろいろな国籍の生徒を度々預かってきたこのファミリーも私が今までで1番滞在期間が長いということで、本当に2年半年間という長い間お世話になりました。
私のホストファミリーには17歳の男の子、11歳の女の子、8歳の男の子がいて、子供好きの私と人懐っこい子供たちの性格がうまくマッチし、とても楽しい留学生活を送ることができました。ホストママもホストパパもとてもいい方たちで常に私のためにベストを作り出してくれる最高のホストファミリーです。
1番上のホストブラザーは、私がシドニーに来た時はたった14歳でした。その頃から14歳には見えない体格の良さと大人っぽい顔立ちはしていたものの、やはり3年経って今を見てみると身体的にも精神的にも(笑)大きく成長したのが見て取れます。何より嬉しいのは彼は元々とても優しく人見知りをしないので到着した当初から感じは良かったものの、私の前ではやはり「他人」であり、「いい人」でなければいけないような感じがしていました。しかし今ではジョークを言い合ったりバカにされたりしたり、兄弟までとはいかないものの「1人の留学生」という枠は超えることができたのではないかと思える距離になりました。SNSでも1年目に勝手に見つけてそっと申請してきたFACEBOOKとは違い、スカイプではアカウントを持っているかを確かめてから友達申請をしてきました(笑)。
2番目の女の子は11歳のホストシスターで、彼女とは今でこそ趣味の合う仲良し姉妹(笑)ですが、到着当初はお互いに猫をかぶって様子見をしていたため、やはりひとりの留学生とホストシスターという距離感でした。仲良くなるにつれて2人とも裁縫が好きだったり、ネイルやメイク、ヘアアレンジが好きだったり、好きな服やアクセサリーの趣味が似ていることが分かり、一気に仲よくなることができました。彼女に1番驚かされたのは成長の速さで、来た当初は小さくてかわいくて私のハイヒールを履いてみてはぶっかぶかで「帰る前にあげるけど履くのは何年後かなー…」などと笑っていたのに、今では靴のサイズが全く一緒で背もあと数センチで追いつかれるという恐ろしい状況です…。」
これ以下は、次に続きます。